肺の陰影:どのようなものに対して切除が必要か?
井上病院 診療部長 西川敏雄
- 検診などで肺の異常陰影を指摘され、精密検査が必要になる場合があると思います。精密検査医療機関を受診すると“経過を見ましょう”“手術をしましょう”など様々な方針が示されますが、どのように方針は決まっていくのでしょうか。
- 精密検査医療機関ではCT検査が行われます。検診で6mm以上の肺結節が見つかった場合に、精密検査が必要になります。
- 肺結節は性状により、以下の3つに分類されます。
①均一なすりガラス型結節(全体が薄いもやもやした影)
②すりガラス領域以外に一部軟部組織吸収値を含む部分充実型結節(薄いもやもやした影の内部に一部濃い部分がある)
③軟部組織吸収値を呈する充実型結節(全体が濃い影)
- 切除の適応:以下の場合は切除の適応となります。
1 10mm以上の充実型結節 2 15mm以上の均一なすりガラス型結節と部分充実型結節 3 (すりガラス型結節が)15mm未満であるが、充実型部分が5mmを超える部分充実型結節
- 再度CT検査:以下の場合は3ヵ月後に再度CT検査を行い、再評価を行うことになります。
4 10mm未満の充実型結節 5 (すりガラス型結節が)15mm未満で充実型部分が5mmを超えない部分充実型結節
- 簡潔にまとめると、薄いもやもやの陰影は大きさの大きいものを除いては経過をみる場合が多く、白さの濃い部分が多い陰影は切除を考慮する場合が多いということになります。
- また、陰影が癌であった場合、薄いもやもやの陰影は比較的たちの良い場合が多く、濃い陰影の場合にはたちが悪い、もしくはある程度進行しているということになります。
- これまでの報告では、例えば均一なすりガラス型結節(全体が薄いもやもやした影)については直径10mm以下で女性患者の場合には5年後に2mm以上増大する可能性は10%ほど、また、5年後にすりガラス領域以外に一部軟部組織吸収値を含む部分充実型結節(薄いもやもやした影の内部に一部濃い部分がある)へと進行する可能性は6%ほど、などとされています。
- 医療機関でCT画像をみられることがある場合には、参考にしてみて下さい。
- 参考:日本CT検診学会;低線量CT による肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方 第5版