専門医による医療解説


気胸(ききょう)Q&A

回答:井上病院 診療部長 西川敏雄

  • Q:気胸とはどんな病気ですか?
  • A:気胸とは、肺から空気がもれて、胸腔にたまっている状態をいいます。胸腔は閉ざされているスペースなので、空気がもれればもれるほど肺が空気に押されて小さくなります。つまり、肺から空気がもれて、肺が小さくなった状態です。
  • Q:気胸はどのような方に多く見られますか?
  • A:10歳代後半、20歳代、30歳代に多く、やせて背が高く、胸の薄い男性に多く発生します。
  • Q:気胸に種類はありますか?
  • A:肺が一部、ブラと呼ばれる袋になり、ここに穴が開きます。明らかな理由もなく発生するものを”自然気胸”と呼びます。
  • 肺気腫や肺癌のように、何か肺の病気があり、これが原因となって起こるときは”続発性”と呼びます。続発性自然気胸は、肺の病気を持っている人になりますから、比較的高齢者に多い病気です。また、外傷による気胸や生理の前後に発生する月経随伴性気胸といったものもあります。
  • Q:気胸の症状は?
  • A:症状としては胸痛・呼吸困難・咳などがありますが、時に症状がないのに胸部レントゲン検査等で発見される事があります。また、空気が大量に漏れると肺がしぼみ、さらに心臓を圧迫してショック(血圧が下がる)になる事があります。肺は左右にありますが、同時に両側の気胸を起こすと大変です。
  • Q:気胸の治療は?
  • A:治療は大きく3つに分かれます。軽度気胸であれば安静にして治るのを待ちます。
  • 中等度気胸や高度気胸の時は、胸腔ドレナージを行います。胸腔ドレナージとは、胸腔にチューブをいれて、溜まっている空気や新たに漏れた空気を外に排出する事をいいます。
  • これらの処置でも治らない場合や再発気胸の場合には、空気の漏れを止める為の手術を行います。手術は胸腔鏡というカメラを胸腔内に入れて小さな傷で行うのがほとんどですが、胸を切って開けて手術を行う場合もあります。また、肺を周囲とくっつけてしぼまない様にしたり(癒着術)、肺に空気を送る通り道を詰めて空気の漏れを止める(EWS)という方法もあります。