肺がんの治療法(おおまかな説明)
井上病院 診療部長 西川敏雄
- 肺癌の治療法は、癌細胞の種類(小細胞肺癌と非小細胞肺癌)と、癌の大きさと広がり(進行度)によって変わってきます。このうち頻度の高い非小細胞肺癌の治療法は大きく分けて(1)手術療法、(2)放射線療法、(3)化学療法の3つに分けられます。
- (1)手術療法は目標の部位に存在する癌の全てを取り除くことを目的としています。したがって、治癒の可能性が最も高い治療法ですが、条件があります。
- ①癌が手術で取り除ける範囲にだけ、取り除けるような状態で存在すること(手術で癌が全て取り除けると判断される場合)②体が手術に耐えられること。以上の条件に該当すれば手術は行われます。
- 癌が肺以外の部位に拡がっている(取り除ける範囲にない)場合や肺に限局していても周囲とくっついていて、剥がすことが困難な場合などには手術は行われません。
- (2)放射線療法は手術に次いで強力な局所療法です。局所療法というのは狙った場所(放射線をあてた場所)にしか効果がないということです。
- 放射線療法は肺と遠く離れた部位に癌の転移がある場合には行うことができません。遠く離れた部位にある癌に対しては放射線があたらず効果がないからです。
- (3)化学療法は抗癌剤などによる治療のことをいいます。抗癌剤などの薬は体全体をめぐるので癌が肺だけでなく他の部位に拡がっている場合に使用されます。
- 近年、使用される薬が非常に進歩してきました。点滴で使用されるものだけでなく、癌の遺伝子を調べて効果がある可能性が高いと判断される場合には分子標的薬という飲み薬も使用されています。また、新しい薬も開発されてきています。
- これらの治療を行うことによって肺癌治療の成績は非常によくなってきました。疑問点や、この治療法がよいのではないかといった質問等ございましたら、いつでも御相談下さい。