専門医による医療解説


井上病院のお仕事って何?

井上病院 副院長 森 雅信

  • 今年の夏は例年にも増して猛暑でした。マスコミ等の啓蒙もあり熱中症への理解が進んだためか、今年熱中症で井上病院に入院してくる人は少なかったです。個人個人が暑熱環境であるという事実を認識し、水分摂取や服装に気を配り、炎天下で無理をせず、室内の温度調節や風通しに気を使った結果と思います。
  • がんについても同様に、予防や早期発見を意識すること、理解することが大切で、がんで亡くなる人が一人でも減るように、ひとり言をつぶやきます。
  • みなさんご存知ですか?井上病院は肺がんや、胃がん、大腸がん、膵がんなどの診断と手術を行う、手術がとっても得意な病院です。しかし、取りきる手術ができないくらいに進行してから当院を受診する人もいまだに多いです。
  • がんは進行すると血液やリンパに乗っかって、あるいは大きくなると直接近くの大切な臓器に食いついていったり、播種といって肺がんの場合は胸膜に、腹部のがんの場合は腹膜に散らばって胸水や腹水がたまった状態となって進行してゆきます。がんは手術等で取りきれなければ、放射線治療、化学療法(抗がん剤)、緩和ケア等と組み合わせての治療となりますが、ある程度以上進行していれば、やがてがんとの闘いに敗れる日が来ます。がんの生存率は少しずつ向上してはいますが、ご存知のように日本人の死亡原因の第1位です。
  • 先日も咳をしながらたばこを吸っている人で、肺気腫を背景に肺がんができていましたが、えっ何で!!(喫煙者は非喫煙者以上に検診を受ける必要があります)とびっくりしている人がいたり、半年前から食事が通らない、食べられない、10㎏もやせたと言いながら、まったく食事が通らなくなるまで受診しなかったり、検診で異常を指摘されていてもその1年後に受診したり、仕事が一段落するまであるいは症状が出るまで受診しなかったり(何のための検診でしょうか?)、1年前からお乳のしこりに気付いていても放っておいたりとか、私ももちろんびっくりしますが、後から考えると(おそらく)本人もなんで!!って思うようなケースがあります。
  • ほとんどのがんは早期に発見し治療を始めるほど良好な結果が得られることが確認されています。がんは進行するまで無症状のことも多いです。がん恐怖症になる必要はありませんが、市の検診や会社検診、人間ドッグを利用して無症状の早い時期のがん発見に努めてください。ちょっとした軽い症状でもあれば病院を受診してください。
  • 当代の検査器械や我々の技術は、昔と比べると格段に進歩しています。当院のCTは最新型で、私が医者になった頃のものと比べると100倍⁉(主観ですが)よく見えます。当院での肺がんや膵がんの診断の第一段階はこのCT検査です。胃や大腸がんの診断の第一段階は胃や大腸内視鏡検査です。内視鏡の操作性、本人への負担、見え方、私が医者になった頃と比べると100倍⁉良くなっています。また内視鏡検査は静脈麻酔でさらに本人の負担を少なくすることもできます。手術も私が医者になった頃と比べると、器具も、我々の考え方や技術も100倍⁉進歩していますし、麻酔の進歩も甚だしく、術後も昔と比べると100倍⁉過ごしやすくなっています。
  • みなさまががんについてもう少し身近なものだと感じて、予防も意識して(禁煙は肺がんだけでなく多くのがんの予防の第一歩!)、とりあえず健康な人はがん検診を受け、少しでも自覚症状がある人も怖がらずに病院を受診してください。井上病院はいつでも気軽に受診できます。がんで苦しむ人が、少しでも少なくなるように祈っています。私も検診しなくては!
  • 追伸:何でも相談でき、必要なときにはほかの専門病院に紹介してくれる身近な頼りになる医師(かかりつけ医)を持ってください。井上病院はその役割を果たします。
  • 注)上記は当院広報誌「はいのたね」第11号からの転載です。