専門医による医療解説


「セカンドオピニオン」のススメ

井上病院 副院長 高橋正彦

  • はじめに
    近年の急速な医学の進歩により治療方法の選択肢が増え、家庭環境や職業などを考慮しより適切な治療を受けることができるようになりました。しかしその反面、選択肢は多いため判断に悩むことも増えてきたのも事実です。たとえば、検査を受けて肺癌が見つかったとします。主治医より複数ある治療方法の中から手術療法を勧められたけど、なかなか決心がつかないこともあるかと思います。
  • また、たとえば90歳の親に肺癌が見つかり、少し認知症があるため治療方針は家族で決めないといけない場合もあります。複数の選択肢の中に高齢なので治療しないという選択肢もあると、ますます判断し兼ねると思います。そういう場合に「セカンドオピニオン」をお勧めします。
  • 「セカンドオピニオン」とは
    「セカンドオピニオン」とは、現在かかっている主治医以外の他の病院の医師の意見を聞くことです。主治医の意見が「1番目の意見」でそれに対する「2番目の意見」を聞くことです。そのことにより、より適切な判断ができると思われます。その際には現在ある検査結果や画像などの情報をすべて持参して受診していただきます。
  • 原則的に「セカンドオピニオン」の病院では、診察や検査や治療などは行いません。「セカンドオピニオン」は意見を聞くだけで、病院を変えて診断を治療をすることではありません。
  • 「セカンドオピニオン」を受ける病院
    「セカンドオピニオン」を受ける病院は、今かかっている病気の専門医がいる病院をお勧めします。「肺癌」であれば福山市内では福山医療センター、福山市民病院、中国中央病病院など、福山市外では大学病院などをお勧めします。もちろんそれ以外の病院で「セカンドオピニオン」は受けられます。

  • 費用について
    「セカンドオピニオン」の費用ですが、保険適応外のため全て自費になります。病院によりその費用は設定されています。参考までに当院では30分5000円(プラス消費税)となっています。

  • 手続きは
    具体的な手続きですが、受診する病院が決まれば、当院より予約を取り、持参する資料なども当院で準備します。主治医にセカンドオピニオンを受けたいとおっしゃっていただければその後の段取りは当院で行います。

  • メリットは
    「セカンドオピニオン」のメリットは多くの情報の整理ができ、より適切な判断ができることです。そのメリットを最大限に引き出すには、「1番目の意見」にも耳を傾け、さらにその上で「セカンドオピニオン」に耳を傾けることです。医師の意見に耳を傾けることなく、自分の都合のいい診断や治療にたどり着くまで医師を変えるのは「ドクターショッピング」と言われ、それはお勧めしません。

  • 最後に
    近年の急速な医療の進歩に伴い治療の選択肢も複数あり迷うことも多くなり、複数の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」は急速に増加しています。病気の治療について後悔のない決断をしたいものです。「セカンドオピニオン」を受けることに、主治医に気兼ねすることは全くありません。お気軽にご相談下さい。


セカンドオピニオン ~当院の場合~

  • 当院(井上病院)をセカンドオピニオンとして利用したい場合
    まずはセカンドオピニオンを希望する旨を現在のかかりつけ医にご相談ください。患者さんやご家族から当院のセカンドオピニオンに対する質問・相談がございましたら、当院の地域医療連携室にお相談ください。  

    セカンドオピニオン面談料 30分5000円+消費税(時間延長により追加料金あり)

  • かかりつけ医が当院であり、セカンドオピニオンを他院で利用したい場合
    当院の主治医にご相談ください。情報提供書や検査書類等をご準備します。セカンドオピニオンを希望する病院との連絡や、セカンドオピニオンの日程調整は、病院によって方法が異なるため、状況に応じて地域医療連携室職員がお手伝いします。