専門医による医療解説


禁煙できない方へ

井上病院 診療部長 西川敏雄

  • 喫煙が体にとってよくないことは明らかです。
  • よくないことが分かっていて禁煙しようとしても、なかなかできないのは、タバコの中に含まれているニコチンによるニコチン依存症という薬物依存(中毒)があるからで、喫煙は嗜好や趣味の問題ではなく病気であると考えられています。
  • そのため、当院を含めた医療機関では薬を使用した禁煙治療を行い、この「喫煙=中毒=病気」を治す治療を行っています。2016年春からは従来よりも保険の適応が拡がり、喫煙本数の少ない若年者に対しても、このような禁煙治療ができるようになりました。
  • しかし、このような保険適応の拡大に対し反対の意見も存在します。ニコチンには依存性があるもののその程度は弱いことが学術的にも社会的にも認められています。喫煙者はアルコール依存症患者などと異なり、何ら支障なく通常の日常生活を送っている。また、タバコは成人が自ら判断して愉しむ合法的な嗜好品である。といったことがその理由です。
  • 実際、禁煙者を対象とした禁煙時のサポート利用状況などを問う調査結果の中には、約95%の禁煙者はどのような禁煙サポートも利用せずに、また、いかなる禁煙補助具も使用せずに独力で禁煙したことを示すものや、禁煙成功者の81.7%が「自分の意志のみ」で禁煙に成功したことを示すものがあります。
  • どちらを信じるかはお任せしますが、喫煙が体にとってよくないことは明らかです。我々医療従事者は、喫煙によって病気になり、そして後悔されている人をたくさんみます。
  • 自分の意思だけ、もしくは、医療機関にかかってでも、とにかく喫煙をやめることを強くお勧めします。